国立大学法人筑波技術大学 筑波技術大学は視覚障害者・聴覚障害者のための大学です。

教育・学生生活

教職課程

教職課程イメージ写真

教員養成の理念

1)教員養成の全学的理念

筑波技術大学は、聴覚・視覚障害者のための高等教育機関として、幅広い教養と専門的な職業能力を合わせもつ専門職業人を養成し、両障害者の社会的自立と社会貢献できる人材の育成を図ることを目的としています。

教職課程では、上記の目的に沿って行われる教養教育及び工学系又は医療系の専門教育により得られる高度な知識・技能と、教職課程で学ぶ人間の発達や教職、学校に関する理解、教科指導や家庭生活場面での生徒や保護者への指導や支援の方法など、教育に関する幅広い素養を基に、教育者としての夢と責任感、さらには障害を有して教壇に立つことへの意義を認識し、教育的課題に的確な判断ができる「子どもの成長に責任の持てる実践的指導力を有した有為な人材」の育成を理念としています。

2)上記目標を達成するための計画に関すること

上記目標を達成するために、学部と学内教職課程関係機関が連携して指導を行っています。これにより教師としての教科指導と教育学の豊かな専門知識の獲得、それらに基づく指導の計画、実践、評価の力、保護者との連携を可能にする教員の育成を目指して各学年次の教職課程を編成し、実施しています。具体的には、全学的な教職課程の取り組みとしては、低学年の段階から専門知識の習熟度を評価する機会を設け、教員としての適性を自覚させること、実践的な能力を養うため学校現場における事例を授業内において必要に応じて取り上げること、模擬授業の実施においては教職経験者や退職した管理職の評価を受ける機会を設けること、教職課程を履修した卒業生と出会う機会を設け、教職に対する将来像を描かせること、教職経験者による講演を多く設けること、教育委員会が主催する学校での教育体験を勧めることを計画しています。

また、各学科及び専攻に おいてもそれぞれ以下に掲げるような固有な目標と計画を掲げて教職課程運営を行っています。

教員養成担当教員

学部と学内教職課程関係機関が連携して指導を行っています。

〈障害者高等教育研究支援センター〉

〈天久保キャンパス 産業技術学部〉

〈春日キャンパス 保健科学部〉

取得できる免許

本学の産業技術学部では、中学校・高等学校の数学・美術、高等学校の情報、工業、工芸の一種免許を、保健科学部では、中学校・高等学校の保健・数学、高等学校の情報の一種免許を取得することができます。また、技術科学研究科では、高等学校の情報、工業の専修免許を取得することができます。学部や学科、専攻により取得できる免許が異なりますので、下の表を参照してください。

学部

産業技術学部

産業情報学科

中学校教諭一種(数学)

高等学校教諭一種(数学)

高等学校教諭一種(情報)

高等学校教諭一種(工業)

総合デザイン学科

高等学校教諭一種(工芸)

中学校教諭一種(美術)

高等学校教諭一種(美術)

保健科学部

保健学科

中学校教諭一種(保健)

高等学校教諭一種(保健)

情報システム学科

高等学校教諭一種(情報)

中学校教諭一種(数学)

高等学校教諭一種(数学)

研究科

技術科学研究科

産業情報学専攻

高等学校教諭専修(情報)

高等学校教諭専修(工業)

保健科学専攻

高等学校教諭専修(情報)

※特別支援学校教員免許状は取得できません。
 ただし、卒業後他大学や大学院、特別支援教育専攻科などに進学し、特別支援学校教員免許状や小学校教員免許状などを取ることは可能です。

教職課程について

幼小中高や特別支援学校の教員になるには、各相当の免許状を取得しなければなりません。教員免許を取得するには、原則として教員養成系大学か大学の教職課程で教育実習等を含む必要な単位を取得しなければなりません。小中学校の免許を取得するには、この他に1週間の介護等体験も義務付けられています。

免許状には普通免許状と特別免許状と臨時免許状があります。本学の教職課程を履修して取得するのは普通免許状です。普通免許状は取得した課程と単位数によって、専修免許状(修士課程修了)、一種免許状(大学卒業)、二種免許状(短大卒業)に分かれます。専修免許状を取得するには、あらかじめ一種免許状を取得している必要があります。

筑波技術大学の修士課程では、学部で一種免許状を取得した後、大学院に進学し専修免許を取得することも可能です。公立学校の教員に採用されるには、免許状のほかに教員採用試験に合格する必要があります。普通免許状は全ての都道府県で有効であり、授与された県以外でも教員として働くことができます。私立学校の教員になる場合にも教員免許は必要です。

教職課程の履修は、卒業に必要な授業科目と並行して履修することから、決して容易なことではありません。特に教育実習は本当に教員になる意思のある学生以外は原則受入れられません。以上のことを念頭において、クラス担当教員や教職科目担当教員の指導を受け、1年次から十分な履修計画のもとに履修してください。

*教育職員免許状取得までの主なスケジュール

1年生  4月 新入生教職課程ガイダンス、教職課程履修相談会

    12月 介護等体験ガイダンス

2年生  6月~ 介護等体験

3年生  4月 教育実習ガイダンス

4月~6月 教育実習内諾活動

4年生  4月~ 教育実習事前指導(模擬授業、卒業生との交流会等)

9月頃 教育実習

実習後 教育実習事後指導(教育実習の振り返り、教職経験者による講演等)

11月頃 教員免許一括申請

3月 学位授与式にて教員免許状授与

毎年 1年に1回学力テストと個別面談を実施

免許状を取得するには以下のとおり、免許法施行規則に定める基礎資格を得て、免許状の種類に応じた科目の単位を修得しなければなりません。

●中学校教諭(一種免許状)及び高等学校教諭(一種免許状)

基礎資格:学士の学位を有すること

本学における最低修得単位数(免許法に定める単位数を基に本学が定めた単位数)

教員免許状を取得するためには、下記に区分される科目を全て履修しなければなりません。4年次の教育実習の前年度までに、一部の「教育の基礎的理解に関する科目」を除き、履修する必要があります。教職課程履修の手引きを参照し、計画的に受講してください。最新のシラバスについてはこちらから確認してください。

1.教育の基礎的理解に関する科目等とシラバス

授業科目

開設単位数

必要単位数

標準履修年次

中学校

高等学校

教職概論

2

2

2

1

教育原論

2

2

2

2

教育心理学

2

2

2

1

教育制度論

2

2

2

2

特別支援教育 2 2 2

2

教育課程論

2

2

2

3

道徳教育指導法

2

2

-

3

特別活動及び総合的な学習の時間の指導法

2

2

2

3

教育方法・技術論(情報通信技術の活用含む)

2

2

2

2

生徒指導・進路指導論

2

2

2

3

教育相談(産業)

教育相談の理論と方法(保健)

2

2

2

2

教育実習事前事後指導

教育実習1

教育実習2(※1)

1

2

2

1

2

2

1

2

-

4

4

4

教職実践演習(中・高)(※2)

2

2

2

4

合計(中学校)

合計(高等学校)

29

-

-

25

※1 中学校免許のみ必修。
※2 教育実習を修得済みであること。

2.教科及び教科の指導法に関する科目

免許状の教科に関連した科目であり、取得しようとする教科により履修科目が異なります。「5.教科及び教科の指導法に関する科目に対応する開設授業科目一覧」を参照の上、中学校は28単位、高等学校は24単位以上修得してください。 なお、各教科内で中学校と高等学校の「教科に関する科目」が同一の場合は併用できます。また、同じ免許状の教科であれば、他学部・学科等の開設したものであっても教科に関する科目として数えることができます。 次年度以降の「教科に関する科目に対応する開設授業科目」については、履修する年度ごとに確認してください。

各教科の指導法

授業科目

開設単位数

必要単位数

標準履修年次

中学校

高等学校

数学科教育法1

数学科教育法2

数学科教育法3

数学科教育法4

情報科教育法1

情報科教育法2

工業科教育法1

工業科教育法2

美術科教育法1

美術科教育法2

美術科・工芸科教育法1

美術科・工芸科教育法2

保健科教育法1

保健科教育法2

保健科教育法3

保健科教育法4

職業指導(※)

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

-

-

-

-

2

2

2

2

2

2

2

2

-

2

2

-

-

2

2

2

2

2

2

2

2

2

2

-

-

2・3

2・3

2・3

2・3

産業:2・3 保健:2

産業:2・3 保健:3

2・3

2・3

2・3

2・3

2・3

2・3

2・3

2・3

2・3

2・3

3・4

※ 高校「工業」免許のみ必修。

3.大学が独自に設定する科目

「大学が独自に設定する科目」は、中学校教諭は4単位、高等学校教諭は12単位以上の修得が必要です。「大学が独自に設定する科目」の選択科目又は「教育の基礎的理解に関する科目等」・「教科及び教科の指導法に関する科目」のうち最低修得単位数を超えて修得した単位(他教科の教科指導法は除く)を充てることができます。

4.その他の科目

免許状の教科に関係なく、免許状を取得しようとする者は、免許法に規定する「その他の科目」を修得しなければなりません。これについて本学で開設する授業科目及び単位数については下表のとおりです 。なお、各授業科目の授業内容については産業技術学部シラバス及び保健科学部シラバスを参照してください。

●産業技術学部開設

開設授業科目等

単位数

標準履修年次

日本国憲法

2

1

健康・スポーツA

健康・スポーツB

1

1

1

1

英語A

2

1

情報リテラシー

2

1

8

●保健科学部開設

開設授業科目等

単位数

標準履修年次

日本国憲法

2

1

健康・スポーツ1

健康・スポーツ2

1

1

1

1

オーラルコミュニケーション1

オーラルコミュニケーション2

1

1

1

1

情報基礎1

2

1

8

教科及び教科の指導法に関する科目に対応する開設授業科目一覧については履修の手引きの8ページ~18ページを参照してください。

各授業科目の授業内容についてはシラバスを参照してください。

(注)「必修・選択」は免許を取得するための必修・選択であり、卒業に必要な必修・選択を表すものではありません。

平成29年度卒業・修了者 教員免許取得状況(延べ数)及び教員採用状況

学部・研究科

中学一種

高校一種

高校専修

合計

数学

保健

数学

情報

工業

工芸

保健

情報

工業

産業技術学部

4

-

4

2

1

1

-

-

-

12

保健科学部

-

0

-

1

-

-

0

-

-

1

技術科学研究科

-

-

-

-

-

-

-

1

0

1

うち教員としての採用者数は0名

平成30年度卒業・修了者 教員免許取得状況(延べ数)及び教員採用状況

学部・研究科

中学一種

高校一種

高校専修

合計

数学

保健

数学

情報

工業

工芸

保健

情報

工業

産業技術学部

8

-

8

5

0

0

-

-

-

21

保健科学部

-

4

-

1

-

-

4

-

-

9

技術科学研究科

-

-

-

-

-

-

-

0

0

0

うち保健科学部1名が教員として採用(臨時講師:埼玉県)

令和元年度卒業・修了者 教員免許取得状況(延べ数)及び教員採用状況

学部・研究科

中学一種

高校一種

高校専修

合計

数学

保健

数学

情報

工業

工芸

保健

情報

工業

産業技術学部

2

-

2

1

1

1

-

-

-

7

保健科学部

-

4

-

2

-

-

4

-

-

10

技術科学研究科

-

-

-

-

-

-

-

0

0

0

教員採用者なし

令和2年度卒業・修了者 教員免許取得状況(延べ数)及び教員採用状況

学部・研究科

中学一種

高校一種

高校専修

合計

数学

保健

数学

情報

工業

工芸

保健

情報

工業

産業技術学部

4

-

4

3

4

0

-

-

-

15

保健科学部

-

0

-

1

-

-

0

-

-

1

技術科学研究科

-

-

-

-

-

-

-

0

0

0

教員採用者なし

令和3年度卒業・修了者 教員免許取得状況(延べ数)及び教員採用状況

学部・研究科

中学一種

高校一種

高校専修

合計

数学

保健

数学

情報

工業

工芸

保健

情報

工業

産業技術学部

-

0

-

-

-

5

保健科学部

-

0

-

-

-

0

-

-

技術科学研究科

-

-

-

-

-

-

-

0

0

0

教員採用者なし

令和4年度卒業・修了者 教員免許取得状況(延べ数)及び教員採用状況

学部・研究科

中学一種

高校一種

高校専修

合計

数学

保健

数学

情報

工業

工芸

保健

情報

工業

産業技術学部

-

0

-

-

-

5

保健科学部

-

-

-

-

-

-

技術科学研究科

-

-

-

-

-

-

-

0

0

0

教員採用者なし

令和5年度卒業・修了者 教員免許取得状況(延べ数)及び教員採用状況

学部・研究科

中学一種

高校一種

高校専修

合計

数学

保健

数学

情報

工業

工芸

保健

情報

工業

産業技術学部

-

0

-

-

-

保健科学部

-

0

-

-

-

0

-

-

技術科学研究科

-

-

-

-

-

-

-

0

0

0

教員採用者なし

全学体制による教職課程運営

全学的に実施しているクラス担当教員制度及びアカデミック・アドバイザー教員制度に加え、教職課程履修者には学生1名に対し教職課程担当教員1名を配置し、学期ごとに教職履修カルテを提出させ履修状況の確認等を行うとともに、随時学生の相談を受け指導を行っています。

2024年度4月より教職課程センターを設置し、教職課程の実務・学生の指導や相談を主に行っています。また、教務委員会委員長や教職課程のある学科長等を構成員とする教職課程センター運営委員会において、運営方針を検討しています。

模擬授業等の公開

教育実習事前事後指導等において学生が行う模擬授業は学内に公開し、他学年の教職課程履修者も参加することとし、早くから教壇に立つことを意識させるほか、学科等の教員や退職校長等を招き、実践経験者から評価を受けることで、実践的な指導力を養うようにしています。

数学基礎学力テスト、日本語能力テストの実施

教職課程履修者の数学及び日本語の能力を測ることを目的に外部試験等を利用して、学力の測定を行なっています。その結果を基に教職の指導に役立てるとともに、教職課程履修者の更なる能力向上を図っています。

授業アンケート調査

学期ごとに授業アンケート調査を行い、教職課程に関する科目の学修状況を把握するとともに指導方法等について学生の意見を聴き、改善を図っています。

教職課程センターの学生への開放

これまでの「教職課程準備室」を改め、「教職課程センター」を開設しました。教職関連の教材及び採用試験情報等の資料を配架した教職課程センターを学生に開放し、授業時間外にも発表の資料作成のほか、学生同士の集団学習等の場として活用できるようにしています。

ボランティア活動への参加や学校見学の実施

子どもに関わるボランティア活動に教職課程履修者を積極的に参加させ、具体的な活動内容の企画段階から携わらせています。学生が実際に児童・生徒に対して教えることを体験する場になっており、この活動を通じて、教職を志す学生の資質能力をも育成しています。また、学校見学をする機会を年に1回は設定し、教育実習に行く前に学校や教員の仕事の様子を学ぶことができるようにしています。

教育委員会等の行政機関との連携事業

大学と教育委員会が連携して教員養成にあたるため、行政が行う講演会を本学において実施し、教職課程履修学生の知識の習得や意識の向上を図っています。

教職課程に関する学内FD・SD

2024年3月7日(木)に第2回教職課程FD・SD研修を行いました。
本研修は教員養成は「大学全体としての組織的な指導体制を整備することが重要」であるとした文部科学省の指針に基づき、全ての教職員が我が国の教員養成の取り組みに関する実態を法令面や指導の取り組みなどの面から学び、本学の教職課程の課題を共有することを目的に実施しています。
今年度は東京学芸大学の澤隆史教授を講師としてお招きし、「教職課程・教員養成の現状と課題」をテーマにご講演をいただきました。
対面・オンライン合わせて約50名の教職員が参加し、学校現場や教員養成大学が抱える課題について学ぶことができました。講演の最後には教職の魅力発信や教員採用試験対策、教職課程を設置する意義の見直しなど、本学に対する課題もお示しいただき、今後検討すべきことを教職員全体で共有することができ、大変有意義な研修となりました。

教職課程FD・SDの様子1 教職課程FD・SDの様子2

教職課程の様子

・卒業生や在学生のインタビュー記事(本学Webマガジンより)

2011(平成23)年度より本学に教職課程が設置されました。本学学生の出身中学・高校は一般校や特別支援学校と多様です。また、近年の教員の人事異動状況からも、本学では一般校と特別支援学校双方の教員として活躍できる人材の育成を目指しています。そして、学生の障害特性やニーズにこたえられるようなカリキュラムや障害支援の方法等を研究し、教育活動に反映させています。また、グループ討論等を多く取り入れ、楽しみながら協働する力を育成しています。

本学以外の教員が担当する授業では、パソコン要約筆記により情報保障をしています。

*上記学生や現職の障害のある教員を支援するための研究をしています。

・国内の聴覚障害・視覚障害等、障害のある教員の養成・採用・研修に関する研究

・聴覚障害・視覚障害教員等、障害のある教員の教育活動における合理的配慮等に関する研究

・諸外国の障害のある教員の制度や教育実践に関する研究