国立大学法人筑波技術大学 筑波技術大学は視覚障害者・聴覚障害者のための大学です。

就職・進路

卒業生インタビュー

産業情報学科

亀田 怜史さん Satoshi Kameda 産業情報学科システム工学専攻機械工学領域[2021年度卒業]

卒業生インタビュー亀田怜史さん写真このページを読んでいる皆さん、こんにちは。私は現在、バイク、自動車などのメーカーであるHondaの研究開発部門である株式会社本田技術研究所で毎日元気に仕事をしています。その中の様々な開発における試作機の製作を担う試作室に配属され、機械加工の担当として業務推進をしています。

具体的な業務の内容ですが、5軸加工機やワイヤ放電加工機、型彫り放電加工機など様々な加工機を用いて試作品の製作やテスト用部品の加工などを担当しています。また加工だけではなくPCの作業もあり、CADソフトで治具設計、CAMソフトで加工シミュレーション、計測機器を用いて加工後の計測なども行い、加工工程の最初から最後までを担っています。大学では機械工学領域を専攻していたのでしっかり基礎を習得し、実際の業務の中で経験を積み、自分の能力を十分に発揮できていると思っています。

現在の職場に、聴覚障害者は後輩が一人いますが、機械加工を担当しているメンバーでは私だけという環境で仕事をしています。コミュニケーションは難しい場面も多いですが、メンバーのみんなに支えられながらしっかり自分の仕事ができていると感じています。今後は聴覚障害をハンディとせず、機械加工領域、試作室でもリーダーを目指して仕事をしていきたいと思っています。

皆さんの中には仕事に対して不安や疑問が多い人もいるかもしれません。筑波技術大学は授業における情報保障が充実しているので、他大学の生徒に比較して情報保障の手配などにかける時間が少ない分、有利なはずです。有利な時間を無駄にせず、どのように使うか、何のために使うか意志を持って行動してください。

「Where there's a will, there's a way.(意志あるところに道は開ける)」

【2024産業技術学部案内掲載当時】

石山 裕貴さん Yuki Ishiyama 産業情報学科システム工学専攻[2018年度卒業]

卒業生インタビュー石山裕貴さん写真私は株式会社日比野設計で高齢者施設や障害者施設など福祉施設の建築設計の仕事をしています。弊社では建物の基本計画から実施設計、現場管理そして竣工後のメンテナンスなどを行っています。

入社1 年目は 図面の修正やarchicadでモデル作成から始め、窓やドアの大きさや種類を表す建具表、部屋の中の立面を表す展開図を作成しました。

2年目からは平面詳細図や家具詳細図などの図面作成など少しずつ仕事を任せていただくようになり、現在は1年目と比べて仕事に対する責任もより実感するようになりました。

会社に入社してまだ3年目ですが、建築を学ぶ見方が変わりました。「建物を見る」ことは学生と社会人では全然違います。私は実施設計の図面作成をこなし、上司や先輩の話を聞いてみると、大学の時は建物をざっくりと表面的にしか見てなかったんだなと改めて実感しました。 もちろん学生のうちに「建物を見る」ことも大切ですが、仕事として設計に関わっていくと、細部の納まりを考える、建築基準法に従う、何より施主さんの要望に応えるなど様々な条件をクリアして建物が出来上がります。お客様の要望に応えながら要望以上のものを作り上げて施主さんの喜ぶ姿を見ることができるのが建築設計の面白さだと感じています。

建築設計の仕事にはチームの皆さんや多くの関係者との情報共有がすごく重要になります。天井点検口と照明の位置が重なっている、建具の配置がそれぞれの図面で違うなど食い違いを起こさないように常にこまめに共有することが必要です。そのため私は設計上の変更があればメモを取る、少しでも不安がある部分については必ず聞くようにしています。チームで打ち合わせをすることも多く、施主さんの要望を詳しく聞き取る必要があります。現在コロナ禍の影響により、予防のためのマスクで口元が隠れてしまい、なかなか聞き取ることが難しいですが、その時は私と話す時はマスクを外してもらうことを前もってお願いする、分からないことがあったら聞き返すなど、周りからの協力はすごく必要でいつも職場の皆さんに助けてもらっています。

今現在大学ではカリキュラムが変わり、設計課題がたくさんあります。私が在学中にはまだ設計課題が少なかったため、もっと経験を積みたいと思い、ただ設計課題をこなすだけではなく、単位をすでにとっていたとしても再履修し、もう一度同じ課題をまた最初から作り直しました。1つ1つの設計課題を本気で取り組み、建築コンペにも挑戦してみることがすごく良い経験になると思います。建築は本当に奥深いもので建築だけ学んでも視野が狭くなってしまいます。見たもの感じたもの様々な体験がより自分の感受性を高めてくれると思います。大学では学ぶことも遊ぶことも本気でやってみてください。 【2022産業技術学部案内掲載当時】

小林 なな恵さん Nanae Kobayashi 産業情報学科情報科学専攻情報科学領域[2017年度卒業]

卒業生インタビュー小林なな恵さん写真私は現在、株式会社LIXILのWEB&デジタルテクノロジーセンター・アセットグループで勤務しています。当グループは、LIXIL商品画像・動画などを管理している部署で、デジタルカタログ・検索サイトなどの管理や、商品画像・動画を使いたいお客様へ画像を提供するサービスの運営などを実施しています。

私の担当業務は、主に画像提供サービスで、約25万点のLIXIL商品画像・動画を取り扱っています。特に動画管理については主担当として活動しています。大学で学んだアクセス等の既製ソフトを使った業務もありますが、私の仕事は社内専用システムを使っており、新しいシステムの導入も頻繁にあるため、常に学びが必要です。様々なシステムに携わって、現在の仕事を更に効率よく進めるよう改善に取り組み、小さなことからでも挑戦し続けることで、自分自身の成長に繋げることが出来ています。このような活動を続けた事で、上司や同僚からも信頼され、難しい仕事を任せられるようになり、やりがいを感じられるようになりました。

このような日常の業務に加えて、ミミシル(聴覚障がい者の働きやすい環境を考える活動)という社内SNSグループで、サブリーダーとして音声の可視化や手話教室などの活動をし続けた結果、テレワークでも情報保障が整備されるようになり、私たち聴覚障がい者が様々なツールを使って健聴者との意見交換や雑談などで対等に話し合えるようになり、更に働きやすくなりました。

大学では、授業でも生活面でも疑問を持ってすぐに周りの人に聞くようにすることが大切です。そして、小さなことでもよいのでアルバイトやサークルなど新たなことに挑戦してみて下さい。そうすることが、あなたにとって経験の一つとなり、大学生活や卒業後の行動の糧になると思います。 【2024産業技術学部案内掲載当時】

原山 玲(旧姓 佐藤)さん Rei Harayama 産業情報学科情報科学専攻[2016年度卒業]

卒業生インタビュー原山 玲さんの写真私は現在、静岡県立静岡聴覚特別支援学校で中学の数学と自立活動を担当しています。私は大学卒業後、非常勤1年間と常勤講師2年間、数学と情報を担当し、並行して教員採用選考試験合格に向けて勉強をしてきました。受験4回目で合格し、2020年4月から教諭として勤務しています。

教師になる夢を持ったきっかけは、中学のとき、数学が苦手な友達に分かりやすく説明している先生の姿に憧れを感じたことです。高校の時に筑波技術大学の見学会で大学教員自身が手話を使って授業を進めていることに感動を覚え、「ここなら授業の内容がわかる、そして教師になる目標を実現できる。」と受験を決心しました。そして入試に無事合格し、産業情報学科に入学しました。

大学では学科のカリキュラムと並行して、教員免許を取るために教職課程も講義受講しました。幸いなことに情報科学専攻に所属したことで、教職課程に必要な単位が重なっており、想像していたよりも負担は大きくありませんでした。そのおかげで、サークル・アルバイト等いろいろな経験ができたことが教員になっていま役立っています。

最後になりますが、筑波技術大学では、全国規模で同じ障害をもつ仲間ができて、一緒に講義を受け、一緒に活動できるので有意義な学生生活を送れると思います。筑波技術大学は帰りたくなる場所、思い出が深い場所であり、応援してくれる先生方がいるので心強い場所です。大学に入学する理由は「目標を実現するため」「目標を見つけるため」...なんでもいいと思います。仲間と関わり、講義を受けてスキルアップできるよう、応援しています。 【2022産業技術学部案内掲載当時】

中野 翔太さん Shota Nakano 産業情報学科システム工学専攻[2016年度卒業]

卒業生インタビュー中野 翔太さんの写真私は現在、(株)フジクラ、生産基盤技術開発部で働いています。フジクラは、光ファイバ・スマホ内の電気回路・コネクタなどを製造しており、私は工場の製造設備・工程内治工具を2D・3D CADを用いて設計しています。大学の授業で出されるCAD設計課題は、教科書の手順に沿った作業をすると答えにたどり着きますが、会社での設計作業は違います。依頼元の使用用途・目的から仕様・コスト・納期・安全をまとめ、装置のイメージ(構造)を作らなければなりません。そのイメージを実現するために、各部品の加工可否、コスト削減の部品の選定や、装置動作中の身体巻き込み防止などを考えながら設計をします。

過去にレーザ溶接装置の設計を初めて任されたことがあります。作業者へレーザ光が漏れ出ないようにカバー間の隙間を塞ぐ遮光板を設置するなど安全に注意しました。しかし、設計を進めるとユニット同士の干渉や、無駄な空間による部品コスト増加などの問題が発生し、設計のやり直しが何度もあり、苦労しました。毎日、職場の先輩と筆談やチャットでコミュニケーションをとり、解決方法のヒントを得て装置設計を完成した結果、新製品開発への貢献が認められ、生産部門長表彰を頂きました。部長から「良い製品を設計してくれて有難う」と言って頂いた時は、本当に嬉しくて、それまでの苦労が報われました。現在も、依頼元から「中野君はとても頼りになるので設計お願い出来ますか?」と言われるような設計者を目指して日々努力しています。

在学生の皆さん。授業で課題を解く時、教科書の手順のままに写すだけではなく、「何故その手順なのか?その答えなのか?」と内容を理解するまで徹底的に調べ、担当の先生や友人と相談することが大事です。色んなことに挑戦し、素敵な大学生活を送ってください。 【2022産業技術学部案内掲載当時】

加藤 優さん Yuu Kato 産業情報学科情報科学専攻[2015年度卒業]

卒業生インタビュー加藤優さんの写真私は現在、筑波技術大学大学院技術科学研究科産業技術学専攻に在籍し、聴覚障害児のための環境音学習に関する研究に従事しています。

大学院といえば、徹夜続きのストイックな生活、研究室に寝袋を常備というイメージがあるかもしれませんが、そんな生活をしていたら私は体も心も持たないと思います。私は、常に行動力・思考力を十分に発揮できるよう、「毎日8時間睡眠1日3食、週1に5kmラン」という健康的な生活を心掛けています。今のところ、その成果として、院2年間は実験や学会発表を予定より多くこなすことができました。

現在の研究テーマを推進するために、特に音響学を学びました。研究で用いる音を音響分析するときに、音をききながら分析結果のデータを確認しなければならない場合があります。こういったことは聴覚障害者が一人で行うのは大変なので、自分の代わりに健聴の指導教員や学生に音をきいてもらい確認していただくようにしています。さらに、健聴者が感じた音の特徴、雰囲気またはきいた時の気持ちなども教えてもらうことがあります。音に関して健聴者の視点を知ることは、聴覚障害者の自分は音から感じ取れる情報量が少ないので、専門書以上の学びを得ているように感じます。音声、音楽、環境音に関する論文もほとんど健聴者が執筆したものなので、聴覚障害者として新たな学びができることを楽しみにしながら毎回読んでいます。

高校でも、大学でも、大学院でも、学ぶことを楽しむ気持ちが自分を成長させてくれるのだと思います。しかし、何をやるにしても身体が一番の財産ですので、どうかみなさんもお体に気をつけて精進してください。 【2020産業技術学部案内掲載当時】

真島 大輔さん Daisuke Mashima産業情報学科システム工学専攻建築工学領域[2014年度卒業]

卒業生インタビュー真島大輔さんの写真私は現在、岡山県庁内にある保健福祉部障害福祉課で勤務しており、主に心身障害者扶養共済制度や手話通訳・要約筆記者の養成と派遣、聴覚障害者の相談業務を行う聴覚障害者センターに関する委託業務を担当しています。自身の障害に関わる業務に携わることで、これまで知らなかった聴覚障害者への支援や情報提供について、業務を通じて知識を深めています。

公務員は安定していて定時に帰れるというイメージが大きいと思いますが、必ずしもそうではありません。確かに入庁後に配属された部署では、仕事が少なく、定時に帰ることができていましたが、現在勤務している障害福祉課は、多忙で業務量が多く残業もしばしばあります。しかし、その反面やりがいがあって楽しく仕事に励んでいます。責任の重い仕事を任されることもありますが、ミス無く事務処理をしっかりこなせるように日々精進しています。

大学では建築工学を専攻しており、現在の仕事と直接関わりはありません。しかし、大学の講義やレポート作成のために身に付いたPCスキルと考察力は、職場での資料作成等に活きており、上司や先輩のアドバイスを受けながら現在も事務作業に必要な知識を吸収しています。また、大学の講義やアルバイト等といった学生生活で身に付いたコミュニケーションスキルについても、職場において、上司や先輩、同期との会話は口話で行い、電話応対は筆談してもらうなど、大学で学んだことや経験は、今の私の力となっています。

大学で身に付けたスキルは、卒業後、必ず仕事や日常生活で活かされます。日々の学生生活で様々な経験を積んで社会生活に必要なスキルを身に付け、自身の力にしていってほしいと思います。 【2022学部案内掲載当時】

片重 千尋さん Chihiro katashige 産業情報学科 システム工学専攻 建築工学領域[2014年度卒業

卒業生インタビュー片重千尋さんの写真私は現在、株式会社丹青社に勤めて4年目になります。当社は店舗や博物館、展示会などの企画・デザイン・制作・運営まで、空間づくりの幅広いプロセスをサポートしています。その中で私はクロスメディアインキュベートセンター演出技術部に所属しています。パースやウォークスルー、演出系ムービーなどのCG(コンピュータグラフィックス)を制作し、コンペ等のプレゼンをサポートしています。

在学中は、建築分野で学んでいましたが、現在の職場で扱うソフトはどれも初めてでした。けれども、図面を見ながら作業するので、在学中に製図演習やAutoCAD、BIM演習で学んだことが図面を読むときに活きています。

時に残業や休日出勤をしながら、厳しいスケジュールに対応することもあります。ですが、自分が制作したパースやウォークスルーでの表現が実際に現場で具現化されているのを初めて目にしたときは感動しました。そして、自分が制作したものがいかに現場や成果に影響を与える可能性があるか、改めてその重要性も認識しました。実際に担当デザイナーから感謝の言葉を頂いたときは非常にやりがいを感じました。このようにチームで取り組む大きなプロジェクトに貢献できる環境で働けていることに感謝しています。

これらの経験を通じて、前線に立って仕事をしている人を支援するスタッフの一員として貢献していきたいと思いました。どの職場においても良い仕事につなげるためには周りとのコミュニケーションが大事になってくると考えています。筑波技術大学は情報保障整備がしっかりされています。ですから、これを活かして視野を広げ、学外にも足を踏み出してアルバイトをするなり、他大学の学生と交流するなり、社会を勉強しておくことが大切だと思います。私自身も、学生時代にアルバイトで経験したことが現在の職場で活きています。自分のためにも様々な経験を積み重ね、充実した学生生活を送ってください。【2019産業技術学部案内掲載当時】

青木 慎吾さん Shingo Aoki 産業情報学科システム工学専攻[2014年度卒業]

卒業生インタビュー青木慎吾さんの写真

私は現在日立建機株式会社で建設機械に搭載する電子制御コントローラのソフトウェアを開発する仕事をしています。日立建機は油圧ショベルなどの建設機械の製造、販売、アフターサービスなどを取り扱っている総合建設機械メーカーです。

入社して6ヶ月ほどの研修期間を経て製品開発部門に配属となり、製品の取扱説明書に載せる画像やソフトウェアの図面を作成しました。2年目に入ってからは、次期モデルの開発に加わり、燃料計や水温計などをディスプレイに表示するソフトウェアの制作を任せてもらいました。また、ソフトウェアの仕様決め、テスト項目の作成および実施など多岐にわたる業務を行っています。最近では、複数のカメラ映像を合成して車体を上から見たような俯瞰映像に変換してディスプレイに表示するソフトウェアの開発も担当しています。

このような仕事は、多くの関係者との繋がりが重要になるので、コミュニケーション力が問われます。お互いの認識にズレがないようにきちんと話し合うことが重要であり、認識にズレがある状態で仕事を進めてしまうと、後工程で大きな手戻りが発生してしまいます。そういうことが起きないように、少しでも疑問に感じたことがあればすぐに関係者にメールや筆記を使って確認をとることを心がけています。

私は、大学では機械工学を専攻していたので、電子制御やソフトウェアに関する知識はほとんどありませんでした。専門的知識がなくても配属されてから覚えていけばいいのですが、知識の大半は先輩や関係者から吸収するものだと思います。また、インターネットや参考書には載っていない知識や技術が多く、関係者に教えてもらわないと仕事が進まないことがあります。 大学のどの学科でも、卒業研究の過程で、メーカーに問い合わせする機会があると思います。担当の先生に頼らずに、自ら進んで問い合わせする習慣を身に付けていったほうがぐっと成長できると思います。大学において、色々なことに挑戦して自己研鑽を積んでいってください。【2020産業技術学部案内掲載当時】

永川 智晴さん Chiharu Nagakawa 産業情報学科電子システムコース[2013年度卒業]

卒業生インタビュー永川智晴さんの写真 私は現在、株式会社毎日新聞社 人事・総務部で働いていて、主に給与関連事務や勤務管理、雇用保険を担当しています。社内外の方々とのコミュニケーション力、労働関連の法律や制度の知識、事務能力など様々なスキル、そしてミスがないのが当たり前という前提で、迅速な対応が求められるやりがいのある仕事です。何か困ったことが起こったときに「あの人に任せれば大丈夫だ」と頼ってもらえる存在になれるよう日々精進中です。

大学では電子システムを専攻していました。現在の仕事内容と必ずしも密接なつながりはありませんが、在学中、自分の時間を削ってまで向き合ってくれた先生方のお陰で身につけることができた論理的な思考力やPCスキル、社会で生きていく力が、今の私の支えになっています。他の大学と違い、卒業した後もずっと気に掛けてくれる先生方がいる大学はここだけです。さらにアメリカ、北欧での海外研修とコミュニケーションの練習にとアパレルの接客アルバイトや聴覚障がいがある学生を支援するPEPNet-Japanの活動を支えるアルバイトをしていたことも活きています。

職場では、業務中はミスや伝達漏れがないよう出来るだけ筆談もしくはメールで、雑談や飲み会では主に口話でやり取りをしています。特に新聞社は聴覚障がい者があまりいなく、聞こえない=話せないという概念をなくしたくてこのような方法になりました。

また、私が仕事をするにあたって、大切にしていることは何よりこの2つです。 ①誰でも出来ることを誰にも負けないくらいやる  ②元気よく笑顔で挨拶をすること

障がいと向き合い、人と比較して驕らないことは当たり前ですが、失敗を怖れず様々なことに挑戦し、素敵な学生生活を送ってください。 【2020産業技術学部案内掲載当時】

小坂 正史さん Masafumi Kosaka 筑波技術短期大学電子情報学科情報工学専攻[1999年度卒業]

卒業生インタビュー小坂正史さんの写真私は現在、富士通株式会社IT 戦略本部に所属しています。弊部は、政府主導の「働き方改革」を見据え、2013年よりグローバルコミュニケーション基盤(以下、グロコミ基盤)の展開をすすめ、2015 年に 国内をはじめ、欧米、豪州、アジアなどの富士通グループ16 万人にグロコミ基盤適用を完了しました。これは国内外の富士通グループの誰とでもリアルタイムに会話することや社員や社内の情報を参照できることを意味し、まさにIT によるイノベーションが起きたわけであります。グロコミ基盤の運用、維持はもちろん、LiveTALKなどのIT ツールを活用し、障害を持つ当事者の視点から「働き方改革」に 取り組むことが私のミッションです。また、オリンピック・パラリンピック2020 年東 京大会に向けて、経済界協議会の取り組 みの一つとして富士通グループの執行役員会で聴覚障害を持つ当事者アドバイ ザーの立場で講話しています。

グロコミ基盤が導入されてから、打合せや会議の方法が劇的に変わりました。それまでは筆談だったり手話通訳に来てもらったりしていましたが、Microsoft LyncのIM( インスタントメッセージ) や画面共有機能を活用して周りとコミュニケーションがとれるようになりました。さらに LiveTALKを使って音声を文字にできるようにもなり、それまで情報がなかなか得られなかった時と比べ非常に働きやすい環境になりました。ICTがもたらす可能性は無限にあり、それに携われる部署にいることは、とても幸運なことだと感じながら、ひたむきに取り組んでいます。

組織の一員として動いていくことも大事ですが、今、社会はどういう動きをしていてどのようなニーズがあるのか、そして自分に何ができるのかを考えていくためには、周りにいるいろんな方とコミュニケーションできる能力、誰もが思いつかないような提案をしていくための豊富な経験と知識、そして柔軟性が必要不可欠です。それらの基礎は大学で教わりました。これからAIをはじめとするIT が世界を 変えていく本格的な時期にさしかかっています。

ICTと自分の可能性を筑波技術大学で是非、追求してみてください。 【2019産業技術学部案内掲載当時】

総合デザイン学科

山川 未那巳さんMinami Yamakawa 総合デザイン学科製品デザイン学領域 [2018年度卒業]

卒業生インタビュー山川未那巳さんの写真私は現在2019年奈良県教員採用試験に合格し、母校の奈良県立ろう学校で中学部、高等部の美術を担当しています。工芸免許は筑波技術大学、美術免許は大阪芸術大学、特別支援学校教諭免許は大阪教育大学特別支援教育特別専攻科で聴覚障害分野を修了し取得しました。教員になって4年目...美術の授業で心掛けていることが5点あります。

① 生徒が文字や言葉を使わなくても自己表現ができる美術・工芸の魅力を感じてもらうこと

② 生徒それぞれの感性や特性を生かせられる教材を選ぶこと

③ 様々な道具や材料を扱う為、全ての生徒の様子を注意深く観察し安全に努めること

④ 美術・工芸・デザインと幅広い知識や技法を取り入れること

⑤ 生徒の作りたい、表現したいという思いを大切にすること

上記の5点を心掛けるために教材選びで紙、ワイヤー、毛糸、ボールペン、粘土、フェルト、ビーズ、砂、石など多様で幅広く研究し、生徒に適しつつ関心を示し出すかを考察しながら試作を行っています。更に美術・工芸・デザインを全てバランスよく取り入れるように試作工程で工夫し安全性を確認しています。これらの工程を経て授業で生徒に説明し制作してもらいます。興味を示さなかったり、不都合な点があったりした場合は試行錯誤を重ねながら、また生徒からの発想や提案を取り入れて改善しています。今後も教材選びに工夫し、生徒の発想や創造力を引き出して個性や感性を発揮できる授業づくりを継続するために自分磨きを重ねていきます。以前、受講した筑波技術大学の社会人学び直しプログラム美術・工芸教員の造形講座でスキルアップに努めつつ、積極的な芸術鑑賞で感性を高めようと考えています。

将来教員を目指す学生の皆さんには、大学時代の様々な経験は必ず自己成長につながると思いますので何事にもチャレンジする気持ちを持ち続けてください。 【2024産業技術学部案内掲載当時】

安田 真綺さん Maki Yasuda 総合デザイン学科視覚伝達デザイン学領域[2018年度卒業]

卒業生インタビュー安田真綺さんの写真私は現在、プラス株式会社ジョインテックスカンパニーのメディア制作部に勤めています。当カンパニーはプラス株式会社における流通系のカンパニーであり、市場別のECサイトを有し、お客様に直接お届けできるインフラを駆使しお客様にとって最適な調達環境をご提供いたします。

私の仕事は主に販促物・web関連の制作をしています。大学で学んだことを実際に活かせる仕事でもありますが指示通りに制作するだけではありません。市場別のサービスやECサイトにおいて各々のイメージに合ったデザインを意識し、バナーやチラシを作る必要があります。依頼者の意図を汲み取る力と表現力が問われますが、「どうやったら受け手が気持ち良いと感じるデザインになるか」「クオリティをあげるための装飾を工夫してみよう」など能動的に考え、時には先輩のアドバイスを頂いたり過去の制作物をチェックしたりしています。

さらにweb関連の仕事に関わる機会が多く、現在進行形でHTML・CSSの他にWordPressの勉強をしています。大学時代ではグラフィック関連を専門としていたので、入社してから常に勉強の日々ですが新たなことを学べる楽しさがあります。実際の仕事でも経験を積んでいくことで自分の仕事に幅が更に広がります。まだ分からないことだらけですが職場の先輩方に教えてもらいながら楽しく取り組んでいます。

上記の二つのように、能動的に行動することと新たなことを学ぶ楽しさは大学生活においても重要だと思います。何らかの行動を起こし、皆と一緒に何かに取り組み、最後まで成し遂げてみてください。その過程で新たなことを学ぶ楽しさを知り、有意義な大学生活が送れるよう頑張ってください。 【2022産業技術学部案内掲載当時】

太田 美菜子さん Minako Ota 総合デザイン学科 視覚伝達デザイン学領域 [2017年度卒業]

卒業生インタビュー太田美菜子さんの写真私は日本経済新聞社東京編集局デザイン編集部に勤めています。

弊部は、日本経済新聞や産業新聞、流通新聞といった、日本経済新聞社から発行されている様々な新聞、電子版に載せるグラフやイラストなどのデザインをしています。 私はこの文章を書いている現在、まだ入社して1年目の新人です。まだまだ覚えることも多く、沢山の先輩に支えられながら仕事をしています。

会社はこれまで経験してきた、学校という場所と全く勝手が違います。大学では、総合デザイン学科視覚伝達デザイン領域に在籍していました。講義で出される課題などはほとんど自由に制作することが出来ました。大学では自分の発想を元に好きなものを作ることで評価されましたが会社ではそうもいきません。 「このようなイメージを元に作ってほしい」と依頼が来ます。それに合ったデザインをしなくてはなりません。少しだけ飾りをつけたりなどは出来ますが、大学時代に提出していた課題のような自由度はありません。ですが、私はこの仕事を楽しくやっています。元々「人の為に絵を描く、喜んでもらえるデザインをする」という考えを持っていたからです。要望に対してどう作っていくのか、先輩たちにアドバイスを貰いながら作っています。今まで自由にやって来たからこそ、新しい見方が学べたのだと自分でも実感しています。

こうした、自分の経験したことのない新しいこと、職場の先輩たちとの交流などの環境など全て学生時代では学ぶことの出来なかったことです。もちろん、大学時代から色々な経験をしておくことも大切だと思います。大学の四年間は本当にあっという間なので悔いの残らないよう、様々なことに挑戦してみて下さい。 【2020産業技術学部案内掲載当時】

佐野 真帆さんMaho Sano 総合デザイン学科建築デザインコース[2012年度卒業]

卒業生インタビュー佐野 真帆さんの写真私は現在、大和ハウス工業株式会社で働いています。大和ハウスは住宅総合メーカーであり、住宅事業の他にも賃貸住宅、流通店舗、マンション、環境エネルギー等の幅広い事業を展開しており、私のその中の住宅設計課で働いています。

住宅事業は主に注文住宅(お客様が購入した土地又は所有している土地に一から住宅を建てる新築住宅)と分譲住宅(建物と土地をセット で販売する戸建て住宅)があり、私はどちらも担当します。注文住宅はお客様の人生最大のお買い物の一つなので、何度も内容を変更したり、特注品が多くなる傾向があります。依頼内容によっては施工上不可能であったり、型式認定(建築基準法に定められた仕様規定以下のスペックでありながら一定以上の安全性が確認できたとして国土交通大臣が認定するもの)から外れてしまう場合もある為、型式範囲内に収めた上でお客様のご要望に最大限応えるにはどうすべきかを考えて提案するよう心がけています。

分譲住宅は手頃な価格で販売できるよう内容がシンプルになりやすいですが、その分お客様に「ここで生活したい」と思って頂けるようにインテリアや同線計画等で工夫を凝らす必要があります。また、これは注文住宅でも同じなのですが、例えばエアコンの室外機が駐車場や庭に配置されないように計画したり、洗面化粧台の引き出しを開閉する際にドア竪枠等の壁からの突起物に干渉しないよう工夫する等、実際に生活する際に不便さを感じないよう配慮することも必要です。特に分譲住宅は注文住宅のようにお客様と打ち合わせしながら計画するわけではない為、実際に自分が生活することを想定しながら計画する必要があります。こういった配慮や提案する力は、入社した当時から持っていたものではありませんし、教科書やマニュアルにも載っていません。例えば先輩や上司からの指摘であったり、営業担当や工事担当との打ち合わせの中で気づいたり、完成後の住宅を実際に見て改善点を見つけたりという、経験やコミュニケーションの積み重ねで少しずつ身に着けていったものです。

在学生の皆さんも日々の勉強していく中で、実際に経験したり先生や友人と相談しあったりすることで教科書で学んだこととの違いを感じたり、別の気付きを得ることがあると思います。そういった経験の積み重ねは皆さん自身の力になります。いろんなことに挑戦し、様々な経験を積み重ねて、素敵な大学生活を送ってください。 【2024産業技術学部案内掲載当時】

笹川 菜摘さん Natsumi Sasakawa 総合デザイン学科 建築デザインコース [2009年度卒業]

卒業生インタビュー笹川菜摘さんの写真私は現在、トランスコスモス株式会社(本社)で勤めております。弊社はIT企業でコールセンター、BPO、デジタルマーケティング、開発など多彩なサービスがあり、全国展開はもちろん、グローバルにも力を入れています。

私はその中のデジタルマーケティングのジャンルでWeb デザイナーとしてバナー広告、ランディングページを中心としたデザインを手がけています。IT 業界は移り変わりが激しく、情報のシャワーを浴びながら日々奮闘しています。

弊社に勤めて8 年目、現在は入社当初にいた部署から異動し、デザイナー7人の小規模チームを立ち上げ、そのチームリーダーとして1年半が経ちました。他にもチームは複数ありますが、当チーム以外は健常者の方で営業やディレクターが大半のためデザイナー1本で仕事しているのはここだけです。そのため、まずはデザイナーとして戦力になること証明するため、依頼された案件に対して相手の求める以上のクオリティに仕上げることを約半年 間継続していきました。

半年後には部門の中でもトップクラスのデザイン力を誇り、今ではなくてはならないチームになったと自負しています。現在のWeb 広告では動画が浸透しているため、動画に関する勉強を少しずつ始めています。常に移り変わる業界だからこそ、自分も臨機応変に乗り遅れないよう新しいスキルを吸収していきたいと思います。6人のメンバーの成長を肌に感じながら日々充実しております。

在学時は今とは180 度違う建築デザインコースでした。在学時と現在で全く違う業種の仕事をしていますが、建築で大事なのは様々な角度から観察する力です。Web広告は平面的に見えて、ターゲット・訴求・配信期間など多角的な視点で制作する必要があります。

また、リーダーになって分かったことですが、メンバーの得意分野を見極め、最大限に活かせるよう案件を回していくため様々な角度からメンバーを観察しています。業種は違えど、在学時で鍛えた観察眼があったからこそ今の私になったのでこれまでの経験は無駄じゃないと思っています。

最後に、在学生の皆様、先の見えない将来へ不安を抱えている方は大勢いると思います。私もその一人でした。不安を取り除くには色々なことに興味を持ち、自分の選択肢を増やすためにスキルを身に付けることだと思います。4 年はあっという間です。途中寄り道しつつも最後は自分が一番活かせるスキルを身に付け卒業してほしいと思います。 【2019産業技術学部案内掲載当時】