国立大学法人筑波技術大学 筑波技術大学は視覚障害者・聴覚障害者のための大学です。

トピックス

  • 2026年06月19日
  • 茨城論壇

茨城論壇に学長の連載が掲載されました(7回目)

2026年5月9日 土曜日、茨城新聞「茨城論壇」にて石原学長の連載7回目の記事が掲載されました。
連載は全12回、次回の掲載日は7月11日 土曜日の予定です。

掲載された記事を以下に転載しています。ぜひご覧ください。

---------

新入生へのメッセージ 筑波技術大学長 石原 保志

3月から4月にかけて、大学を含めた学校では、卒業式、入学式が行われました。当事者である児童、生徒、学生にとって、人生の区切り目である大切な儀式です。それまでの出来事や心情を振り返り、将来に向けて準備をするための機会となります。

障害者のための大学である筑波技術大学では、卒業生の謝辞や入学生の宣誓の中で、やはり障害にまつわる内容が述べられました。特に印象的であったのは、入学式の壇上で卒業生が新入生に向けて語った「新入生へのメッセージ」でした。卒業生2人のメッセージの一部を紹介します。

1人目は総合デザイン学科卒業生の平嶋萌宇さんの言葉です。「(前略)3年前、編入生として本学の門をくぐった私は、まさに『道に迷っている』最中でした。しかし、私が本学を志した理由は明確でした。それは、『自分は何者であるのか』という問いに向き合うためです。自分のルーツである『ろう文化』や『手話』という誇りを、もっと深く学びたい。そして、それを社会に伝えられる存在になりたい。その答えを求めて、私はこの大学への一歩を踏み出しました。(中略)大学4年次、私は一つの大きな挑戦をしました。幼い頃からの夢であった『手話の魅力を社会に届けること』を形にするため、ミス日本コンテストに出場いたしました。卒業研究との両立、そして大きな舞台。不安に押しつぶされそうな時もありましたが、本学は情報保障をはじめ、学習面・環境面の双方から、変わることのない支援を送り続けてくださいました。(中略)結果として『ミス日本 ミス着物』という身に余る賞を頂くことができましたが、私にとってそれ以上に価値があったのは、『自分の文化を、自分自身を、誇りを持って表現できた』という、あの瞬間の確信でした。夢とは、決して遠くにあるものではありません。志を抱き、それを言葉にし、一歩を踏み出した時、夢は少しずつ現実へと近づいていきます。そして、その歩みを支えてくれる『場所』と『人』との出会いが、夢を確実なものへと変えてくれます。(後略)」

2人目は、鍼灸学専攻卒業生の萱野桃子さんの言葉です。「(前略)私は、中学3年生の頃から、視覚障害があり、現在は光を感じる程度の視力で生活をしています。その中で感じるのは、大学は自分自身を成長させてくれる場所だということです。私は大学生時代、鍼灸の学問に加えて、教職課程やゼミナールなどを履修し、大変多くのことを学ばせていただきました。大学は専門的な学問を深められることはもちろんですが、自立することや社会の中で自分に求められているものは何か、自分にできることは何かなど、自分自身を見つめ、ステップアップできるチャンスがたくさんある場所です。(中略)私は日頃、挑戦するかやめるか迷った時には、挑戦する方を選ぶようにしています。なぜなら、何かに挑戦することは勇気がいりますが、どんなことも必ず人生において良い経験になると思っているからです。皆さまも、今後の大学生活で何かに迷った時には、ぜひ挑戦する方を選んでみてください。(中略)でも、いつもいつも頑張り続けなくても大丈夫です。自分のペースで自分らしくいられる大学生活になることを心から願っています。(後略)」

このように素晴らしいメッセージを語れる卒業生の成長の礎には、親御さんをはじめとした周囲の方々の支えがあったことを、同じ壇上で痛感しました。

---------

なお、過去の茨城論壇の記事は以下のリンクからご覧ください。
茨城論壇連載一覧ページ

(広報室/2026年6月19日)