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- 2026年09月07日
- 茨城論壇
茨城論壇に学長の連載が掲載されました(8回目)
2026年7月11日 土曜日、茨城新聞「茨城論壇」にて石原学長の連載8回目の記事が掲載されました。
連載は全12回、次回の掲載日は9月12日 土曜日の予定です。
掲載された記事を以下に転載しています。ぜひご覧ください。
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法律により、全ての事業主には一定割合以上の障害者を雇用する義務(法定雇用率)が課せられています。民間企業の場合、7月1日からの基準は2.7%です。例えば従業員が1000人の会社であれば、最低27人を迎え入れる必要があります。もし達成できなければ、国へ納付金を支払わなければならないほか、最悪のケースでは企業名が公表されることもあります。働く人が集まるあらゆる組織にとって、業績や機能の向上と、この雇用義務は一見すると矛盾するように思えるかもしれません。しかし、少子高齢化による深刻な人手不足が進む今、人材確保の現場において「ダイバーシティ(多様性)」への対応は避けて通れない課題です。これからの時代、シニアや外国人、そして障害がある方々を貴重な戦力として迎える経営方針こそが、組織の生き残りを左右します。全ての仕事が人工知能(AI)に取って代わられるわけではないからこそ、人の力をどう生かすかが鍵となります。
働く力を持つ障害者の中には、豊かな可能性を秘めながらも、学生時代にそれを十分に伸ばしきれなかった人が少なくありません。その原因の一つが、習得までに時間がかかる点です。記憶や思考、推論といった力を高めるためには、個々の特性に応じた丁寧な学びの手法が欠かせません。特別支援教育の現場では、一人一人に応じた指導が期待されています。しかし、現場の全教員が専門的なスキルを十分に備えているとは限らないのが実情です。さらに、教員側も膨大な校務に追われ、肝心の授業や指導に割ける時間が減っているという現実もあります。それでも、多くの熱心な先生方が連携し、ご家庭とも協力し合うことで、仕事に直結する技術を身に付けて社会へ羽ばたく若者は大勢います。また近年では、最新の医療やアシスティブテクノロジー(支援技術)の進化により、健常者以上のパフォーマンスを発揮するケースも増えています。
もう一つ、彼らが職業人として成長するために欠かせないのが「社会経験」です。学校から社会へ出るとき、私たちは誰しも環境や役割の劇的な変化に直面します。「教育を受ける側」から「労働というサービスを提供する側」への意識の切り替えが必要です。この移行を支えるのが、子ども時代から青年期にかけてのリアルな生活体験です。家庭や地域での成功、失敗、そしてそれを乗り越えた経験を通じて、人は社会の仕組みや自分の立ち位置を学んでいきます。しかし、障害のある子どもたちは、こうした実体験の質や量が不足しがちです。これは一般の小中高校に通っていれば解決する問題でもありません。例えば、視覚や聴覚に障害がある場合、一般校に在籍していても、周囲との会話や視覚情報の不足から孤立し、経験の機会を逃してしまうことがあるからです。だからこそ、地域や学校、そして保護者が一体となり、意図的に体験の場をつくっていく必要があります。周囲が陰ながら安全を見守りつつ、本人たちが自ら考え、環境に適応する方法を身に付けられるよう促すこと。その工夫とサポートが、いま社会全体に求められています。
インクルーシブとは、全ての人が障害という社会的障壁を認識し、当事者の挑戦を促す社会の在り方そのものです。また、ダイバーシティも単なる女性活躍にとどまりません。障害者を含む多様な人々が組織や地域で共に生き、能力を発揮できる環境を整えること。これこそが、全ての人のウェルビーイング(幸福)を高める真の共生社会へとつながっていきます。
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なお、過去の茨城論壇の記事は以下のリンクからご覧ください。
(広報室/2026年9月7日)