国立大学法人筑波技術大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する役員及び職員対応要領 平成28年3月15日制定 最終改正 令和6年1月1日 (目的) 第1条 障害を理由とする差別の解消の推進に関する役員及び職員対応要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下、「法」という)第9条第1項の規定に基づき、 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定)に即して、国立大学法人筑波技術大学の役員及び職員(非常勤職員含む)が適切に対応するために必要な事項を定めることを目的とする。 (定義) 第2条 この対応要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1)障害者 法第2条第1号に規定する障害者、即ち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし、本学における教育及び研究、その他本学が行う活動全般において、そこに参加する者すべてとする。   (2)社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (3)部局 大学院技術科学研究科、産業技術学部、保健科学部、障害者高等教育研究支援センター及び事務局をいう。 (4)部局長 部局の長をいう。  (障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方) 第3条 この対応要領において、不当な差別的取扱いとは、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、教育及び研究、その他本学が行う活動全般について機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所・時間帯などを制限すること、又は障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することをいう。また、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付き添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取り扱いも、障害を理由とする不当な差別的取り扱いに該当する。なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。 2 前項の正当な理由に相当するか否かについては、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益及び本学の教育及び研究、その他本学が行う活動の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、役員及び職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際、役員及び職員と障害者の双方がお互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。 3 この対応要領において、合理的配慮とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。 4 前項の過重な負担については、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、次の各号の要素等を考慮し、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、役員及び職員は、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際には、役員及び職員と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めて柔軟に対応を検討することが求められる。 (1)教育及び研究、その他本学が行う活動への影響の程度(その目的・内容・機能を損なうか否か) (2)実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) (3)費用・負担の程度 (4)本学の規模、財務状況 (障害を理由とする差別の解消に関する推進体制) 第4条 本学における障害を理由とする差別の解消の推進(以下「障害者差別解消の推進」という。)に関する体制は、以下の各号のとおりとする。 (1)最高管理責任者 学長をもって充て、障害者差別解消の推進及びそのための環境整備等(施設等のバリアフリー化の促進、必要な人材の配置、障害のある入学希望者や学内の障害のある学生等に対する受入れ姿勢・方針の明示、情報アクセシビリティの向上等)に関し、本学全体を統括し、総括監督責任者及び監督責任者が適切に障害者差別解消の推進を行うようリーダーシップを発揮するとともに、最終責任を負うものとする。 (2)総括監督責任者 常勤理事もって充て、最高管理責任者を補佐するとともに、役員及び職員等に対する研修・啓発の実施等、本学全体における障害者差別解消の推進に関し必要な措置を講ずるものとする。 (3)監督責任者 部局長をもって充て、当該部局における障害者差別解消の推進に関し責任を有するとともに、当該部局における障害者差別解消の推進に必要な措置を講ずるものとする。 (4)監督者 技術科学研究科においては各専攻長、産業技術学部及び保健科学部においては各学科長、障害者高等教育研究支援センターにおいては各部門主任、事務局においては各課長をもって充て、監督責任者を補佐するとともに、次条に規定する責務を果たすものとする。 (監督者の責務) 第5条 監督者は、障害者差別解消の推進のため、次の各号に掲げる事項に注意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう監督し、また障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。 (1)日常の業務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 (2)障害者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。 (3)合理的配慮の必要性が確認された場合、所属する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。 2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、監督責任者に報告するとともに、その指示に従い、迅速かつ適切に対処しなければならない。 (不当な差別的取扱いの禁止) 第6条 役員及び職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 役員及び職員は、前項に当たり、別紙「障害を理由とする差別の解消の推進に関する役員及び職員対応要領における留意事項(以下「留意事項」という。)」に留意するものとする。 (合理的配慮の提供) 第7条 役員及び職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状況に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的配慮の提供をしなければならない。特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。また、障害のある性的マイノリティについても同様に留意する。なお、本学は、聴覚・視覚障害者のための高等教育機関であり、学生の大半が障害者であることを鑑み、多数の障害者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障害者等への波及効果も考慮した環境の整備を行うことも有効である。 2 前項の意思の表明は、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び障害の特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意する。また、意思の表明がない場合であっても、当該障害者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障害者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。 3 役員及び職員は、前二項の合理的配慮の提供を行うに当たり、別紙留意事項に留意するものとする。 (苦情相談体制の整備) 第8条 障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する苦情相談に的確に応じるための窓口は、下記のとおりとする。 (1)国立大学法人筑波技術大学人権問題等委員会規程第6条に規定する苦情相談窓口 (2)「学生に係る人権問題等に対応するための苦情相談窓口の取扱いについて」(平成17年学生委員会)に規定する苦情相談窓口 (3)第4条第1項第4号に規定する監督者 (紛争の防止等のための体制の整備) 第9条 障害を理由とする差別(正当な理由のない不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供等)に関する紛争の防止又は解決を図るための委員会は、人権問題等委員会とする。 2 学内組織等は、人権問題等委員会の要請に従い、紛争の防止又は解決を図るための協力をしなければならない。  (環境の整備) 第10条 本学は、聴覚・視覚障害者のための高等教育機関であり、学生の大半が障害者であることを鑑み、施設・設備の整備、情報アクセシビリティの向上、専門性のある指導体制の確保・人材配置といった、障害者のための教育・研究の充実に必要な環境の整備に努めるものとする。 2 役員及び職員は、前項の環境の整備を行うに当たり、別紙留意事項に留意するものとする。 (役員及び職員等への研修・啓発) 第11条 総括監督責任者は、障害者差別解消の推進を図るため、役員及び職員等に対し、次の各号のとおりの研修・啓発を行うものとする。 (1)新たに役員及び職員となった者に対して、障害を理由とする差別に関する基本的な知識・技術を習得させるための研修・啓発。 (2)新たに監督者となった者に対して、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる責務・役割について理解させるための研修・啓発。 (3)その他の役員及び職員に対して、障害特性を理解させ意識の啓発を図り、障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等を作成し、これに応じた教育及び支援活動を行うための知識・技術を習得させるための研修・啓発。 (4)本学と契約関係にある事業者に対して、障害を理由とする差別の解消及び障害者へ適切に対応するための基本的知識に関する啓発 (違反行為者に対する必要な措置) 第12条 役員及び職員が、この対応要領に違反する行為を行ったおそれがあると認められるときは、第9条に規定する委員会等は、直ちに調査を開始し、調査の結果、違反する行為が行われたと認められた場合は、必要な措置を講じるものとする。 (その他) 第13条 この対応要領に定めるもののほか、障害を理由とする差別の解消の推進に関する役員及び職員の対応に関して必要な事項は、別に定める。 附記 この要領は平成28年4月1日から実施する。 附記 この要領は令和6年1月1日から実施する。 別紙 障害を理由とする差別の解消の推進に関する役員及び職員対応要領における留意事項 第1 不当な差別的取扱いに関する例 1−1 <正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例> 1−2 <正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例> 第2 合理的配慮に関する例 2−1 <合理的配慮に当たり得る配慮の例> 2−2 <合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例> 2−3 <合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例> 第3 環境の整備に関する例 3−1 <環境の整備の例> 3−2 <合理的配慮の提供と環境の整備の関係にかかる例> 国立大学法人筑波技術大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する役員及び職員対応要領(以下「対応要領」という。)第6条、第7条及び第10条に定める留意事項は、以下のとおりとする。 なお、後述するように、本学は一部専攻を除くすべての学生に一定の障害があることを前提としていること、また聴覚障害・視覚障害に応じてキャンパスが分かれていることから、キャンパスごとに主な対象者の想定が異なる。そのため、本留意事項においては事例の区分として以下の通りキャンパス等の名称を用いることとする。 「天久保キャンパス」:聴覚障害者を想定 「春日キャンパス」:視覚障害者を想定 「両キャンパス」および「医療センター」:障害のある者全般、または聴覚・視覚以外の障害のある者を想定 実際の天久保キャンパスにおける視覚障害者への対応、春日キャンパスにおける聴覚障害者への対応、および医療センターにおける聴覚・視覚障害者への対応は、相互に各事例を参考にするとともに、場面に応じて柔軟な対応を行う。また、「両キャンパス」には障害種を特定しない、何らかの障害特性を持つ者全般に対しての事例も多く含んでいる。そのため、本留意事項を参照する際は、各キャンパス・医療センターに挙げた個々の事例のみならず、本留意事項全体を通読したうえで、個別の事案に対応されることが望ましい。 第1 不当な差別的取扱いに関する例(第6条関係) 対応要領第3条第1項及び第2項のとおり、第1項に規定する不当な差別的取り扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが、正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例、及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例は、次のとおりである。 なお、ここに記載する内容はあくまでも例示であり、これらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由があり、不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意すること。また、本学は聴覚・視覚に障害のある学生に対して高等教育を行うことを目的に設立された大学であり、一部専攻を除くすべての学生に一定の障害があることを前提としている。したがって、以下の項目についても、本学の目的を本質的に変更しない範囲で、障害に起因する差別の解消を促進するために定めているものである点に留意すること。 <正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例> ■両キャンパス (両-1-1) 本学の入学資格を満たしているにもかかわらず、障害の種別や程度及び重複障害を理由に受験や入学を拒否又は制限すること。 (両-1-2) 障害の種別や程度及び重複障害を理由に授業受講や研究指導、実習・研修・フィールドワーク等への参加を拒否又は制限すること。 (両-1-3) 障害の種別や程度及び重複障害を理由に事務窓口等での対応順序を劣後させること。 (両-1-4) 障害の種別や程度及び重複障害を理由に式典、行事、説明会、シンポジウム等への出席を拒否又は制限すること。 (両-1-5) 障害の種別や程度及び重複障害を理由に学生寄宿舎への入居を拒否又は制限すること。 (両-1-6) 障害の種別や程度及び重複障害を理由に施設等の利用やサービスの提供を拒否すること。 (両-1-9) 障害のある学生の授業受講や研修、講習、実習等において、必要な合理的配慮を提供できないからという理由でその参加を拒否すること。 (両-1-10) 障害のある学生の教育・指導場面において、教育上必要な理由がないにもかかわらず、特定の意思疎通手段の使用を強要すること。 (両-1-11) 試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつけること。 <正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例> ■両キャンパス (両-1-12) 実習において、アレルゲンとなる材料を使用するなど、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害者に対し、アレルゲンとならない材料に代替し、別の部屋で実習を設定すること。 (両-1-13) 電動車椅子を使用している学生から、工場見学への参加希望があった際に、訪問先の見学場所の一部が電動車椅子で移動可能な状態になっておらず、手動車椅子への移乗や人的な介助を利用しても、困難が解消されないことから、本人と相談の上、一部、別室からオンラインで見学の様子を観察する形に変更すること。 ■医療センター (医-1-1) 検査にあたって特別な配慮が必要で、その準備や対応に通常以上の時間がかかってしまう患者様に対して、事情を丁寧に説明して同意を得たうえで、対応の順番を前後させること。 (医-1-2) 入院等の手続きにおいて、家族や支援者・付き添い者が同意書などの書類に代筆をしようとした際に、プライバシーに配慮しつつ、必要な範囲で、障害者本人に対して同意の意思を確認すること。 第2 合理的配慮に関する例(第7条関係) 合理的配慮は、不特定多数の障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は、対応要領第3条第3項及び第4項のとおり、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要があるが、例としては、次に掲げるとおりである。 なお、これらの例は、あくまでも例示であり、ここに記載する例以外であっても合理的配慮に該当するものがあること、個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意すること。 <合理的配慮に当たり得る配慮の例> ■天久保キャンパス(聴覚障害関連) (物理的環境への配慮) (天-2-1) 講演会や行事等のさまざまな場面において、参加者のニーズや内容・場面の特性に合わせ、手話通訳や文字通訳・音声等が見やすく、あるいは聞きやすくなるよう物理的な調整を図ること。 (意思疎通の配慮) (天-2-2) 授業や実習等の教育場面において、手話や文字・音声等、受講している学生のニーズならびに教育目的にそった多様なコミュニケーション手段を用いることで、確実に情報を伝達し、かつ、教育効果を高めるよう工夫すること。 (天-2-3) 非常勤講師や新任の教育職員が担当する授業等の場面において、手話通訳、文字通訳、補聴システム等の情報保障を提供したり、手話や文字・音声等を用いたりして、確実に情報が伝達されていることを確認すること。 (天-2-4) ビデオ等の視聴覚教材を用いる際に、字幕を付与したり、内容の解説を加えたりする等、情報が確実に伝わる手段を用いること。 (天-2-5) 手話通訳、文字通訳などの情報保障を利用する際に、必要に応じて予め資料を提供したり、通訳の状況を確認しながら話したりするなど、確実に情報保障がなされるよう工夫すること。 (天-2-6) 入学試験や定期試験、または授業関係の注意事項や指示を、手話や文字・音声等を用いて伝達すること。 (天-2-7) 講演会や各種発表会、報告会、その他の行事等、大学生活上のさまざまな場面において、手話通訳、文字通訳、補聴システム等の情報保障を提供したり、手話や文字・音声等を用いたりして、確実に情報が伝達されていることを確認すること。 (天-2-8) 窓口での各種手続きの際に、手話や文字・音声等の多様なコミュニケーション手段を用いてやりとりすること。 (天-2-9) オンラインと対面のハイブリッド形式で実施する授業で、どちらの形態を利用している学生にとっても、手話や音声・文字などの情報が届くように、確認しながら授業を進めること。 (ルール・慣行の柔軟な変更) (天-2-10) 教育実習等の学外実習において、合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認めること。 (天-2-11) 電話による連絡や手続きが必要な場面で、FAXや電子メール、電話リレーサービス等の使用を認めること。 ■春日キャンパス(視覚障害関連) (物理的環境への配慮) (春-2-1) 学内で工事を行う等、環境に変化が生じる際に、文字(墨字)による掲示だけでなく、音声(館内放送)や電子データ(メール)等を利用して障害者に状況を知らせること。 (春-2-2) 障害者が学内の移動を習得するために、個々の障害特性やニーズに応じて、環境把握に必要な解説を行うこと。 (春-2-3) 学内における講演会や行事等のさまざまな場面において、慣れていない場所で安全に移動するために支援を行うこと。また、場面の特性によって、同性の職員が案内を行うこと。 (意思疎通の配慮) (春-2-4) シラバスや教科書・教材等の印刷物にアクセスできるよう、障害者のニーズおよび障害特性に応じて電子ファイルや点字・拡大資料等を提供すること。 (春-2-5) 非常勤講師や新任の教育職員が担当する授業等の場面において、学生等のニーズおよび障害特性に応じた教材等が提供されていることを確認すること。 (春-2-6) 授業で使用する資料を事前に提供し、事前の一読や、読みやすい形式への変換を行う時間を与えること。 (春-2-7) 図などを利用する際に、触図や模型を活用したり、必要な解説を加えたりするなどして、学生等にわかりやすい形で提示すること。 (春-2-8) 入学試験や定期試験、成績評価の対象となる課題等において、点字や拡大文字等の利用しやすいメディアで実施すること。 (春-2-10) 事務手続きの際に、職員が必要書類の代筆を行ったり、電子媒体での提出を認めたりすること。 (春-2-11) 職員が障害者に対して掲示・連絡を行う際に、当該障害者のニーズや障害特性に応じた手段を用いること。 (ルール・慣習の柔軟な変更) (春-2-12) 入学試験や定期試験において、個々の学生等のニーズや障害特性に応じて、試験時間を延長したり、別室受験や支援機器の利用を認めたりすること。 (春-2-13) 教育実習等の学外実習において、合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認めること。 ■両キャンパス (物理的環境への配慮) (両-2-1) 図書館やコンピュータ室、実験・実習室等の施設・設備の利用に困難のある障害者のニーズに応じ、他の学生等と同様に利用できるように必要な調整を図ること。 (両-2-2) 移動に困難のある障害者で、自家用車を利用している者のために、普段よく利用する教室に近い位置に駐車場を確保すること。 (両-2-3) 移動に困難のある学生等が参加する授業で、使用する教室をアクセスしやすい場所に変更するなど、所要の対応をとること。 (両-2-4) 障害特性により、授業中、頻回に離席の必要がある学生等について、座席位置を出入口の付近に確保すること。 (両-2-5) 易疲労状態の障害者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めるとともに、休憩室の確保が困難な場合、教室内に長いすを置いて臨時の休憩スペースを設けること。 (両-2-6) 障害特性による視聴覚や嗅覚、身体接触への過敏等の特異な感覚がある場合に、障害特性に応じた環境調整等の配慮を行うこと。 (意思疎通の配慮) (両-2-7) 事務手続きや教育的指導等の場面において、障害特性により、視覚情報が優位な者に対し手続きや申請の手順を矢印やイラスト等でわかりやすく伝えること。 (両-2-8) 事務手続きや教育的指導等の場面において、間接的・抽象的な表現が伝わりにくい場合に、より直接的・論理的な表現を使って説明すること。 (ルール・慣行の柔軟な変更) (両-2-9) 入学試験や定期試験において、コンピュータなど代替手段の使用を認めたり、障害の状態に応じて試験時間を延長したりすること。 (両-2-10) 入学時など多数のガイダンスが行われる際に、情報の処理や入手に困難のある学生に対して、個別に必要書類やスケジュールの確認等を行うこと。 (両-2-11) 履修登録の際、履修制限のかかる可能性のある選択科目において、機能障害による制約を受けにくい授業を確実に履修できるようにすること。 (両-2-12) 外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において、必要に応じて介助者等の立ち入りを認めること。 (両-2-13) 実験・実習等において、障害の特性により指示の伝達や作業の補助等が必要となる場合に、特別にティーチングアシスタント等を配置すること。 (両-2-14) 授業中、ノートを取ることが難しい学生等に、板書を写真撮影することや、ICレコーダ等を用いた授業の記録を認めること。 (両-2-15) 感覚過敏等がある障害者に、サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォン等の着用を認めること。 (両-2-16) 病気療養等で学習空白が生じる学生等に対して、ICTを活用した学習活動や補講を行う等、学習機会を確保できる方法を工夫すること。 (両-2-17) 成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討すること。 ■医療センター (医-2-1) 障害者を目的の場所まで案内する際に、歩行速度を合わせて歩いたり、本人の希望に合わせて前後・左右・距離の位置取りを変えたりすること。 (医-2-2) 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対して書類の記入をお願いする際に、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりすること。 (医-2-3) 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認すること。 (医-2-4) 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、わかりやすい記述で伝達したりすること。また、必要に応じて、書類記入の介助を行うこと。 (医-2-5) 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、当該障害者に説明の上、本人の希望や施設の状況に応じて別室を準備すること。 また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意する。 <合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例> ■天久保キャンパス(聴覚障害関連) (天-2-12) 学生を対象にしたイベントで、事前に学生から特定の手段による情報保障の希望があった際に、講演の内容や参加する学生のコミュニケーション手段等について検討することなく、「例年こうしてきた」との理由のみで、詳細な経緯の説明等を行わずに対応を断ること。 ■春日キャンパス(視覚障害関連) (春-2-13)特定のウェブサイト等を用いて事務手続き等を行う場面で、そのサイトがスクリーンリーダーに対応していないとの指摘があった際に、代替手段を提案したり、個別の対応を検討したりするなど、必要な調整を行うことなく、一律に同じサイトの利用を求めること。 ■両キャンパス (両-2-17) 入学試験や定期試験等において、座位の保持が困難な学生から、試験室への介助者の同行について申出があった場合に、前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること (両-2-18)障害特性により、人前でのプレゼンテーションを苦手としている学生が、動画による発表等、代替手段による参加を求めてきた際に、当該授業の目的や障害の内容・特性等について具体的に検討することなく、「特別扱いはできない」という理由で一律に対応を断ること (両-2-19) 下肢に障害のある学生からイベント会場内での移動に際して支援を求める申し出があった際に、具体的な支援方法や安全な移動の方法等について検討をすることなく、「何かあったら困る」という抽象的な理由に基づいて、支援の提供を断ること ■医療センター (医-2-6) 電話利用が困難な患者から、電子メールや電話リレーサービスを利用して手続きを行えるよう求められた際に、マニュアル上音声による電話でないと対応ができないことになっているとの理由から、その他の手段の利用について検討することなく対応を断ること (医-2-7) 紙媒体で渡される検査結果を読むことができない患者から、「内容を口頭で伝えて欲しい」との申し出があった際に、患者のプライバシーや個々の事情、検査の内容・性質等について考慮することなく、一律に「ご家族の方に読んでもらってください」と対応を断ること <合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例> ■天久保キャンパス(聴覚障害関連) (天-2-13)サークル活動で学外者を招いたイベントを実施するため、手話通訳を依頼できないかとの申し出があった際に、大学として手話通訳者を配置することはできないが、サークルの活動費を利用して外部機関に手話通訳を依頼する方法があるため、直接連絡してみてはどうかと提案すること(必要とされる範囲での本来の業務に付随するものに限られることの観点) (天-2-14)文字通訳のログを配布している授業で、分量が多く内容が読み切れないという理由から要約したログを配布して欲しいとの要望があった際に、長い文章から要点を抜き出すことも重要な学習の一つであることを説明して、提供を断ること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点) ■春日キャンパス(視覚障害関連) (春-2-14)図書館等の場で、視覚障害者から職員等に対して館内を付き添って利用の補助を求められた場合に、他業務のため今すぐ付添いすることはできないが、別の時間に対応するか、職員が聞き取った書籍等を準備することはできる旨を提案すること(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点) (春-2-15)墨字資料を読みこなすことが求められる分野で、自分自身で墨字資料にアクセスするための手段について指導を行い、技術の習得を促している状況下において、学生から資料のテキスト化の要望があった際に、まずは自分自身で作業してみるよう伝えること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点) ■両キャンパス (両-2-20) 実験・実習への参加が主目的となっている授業で、対人コミュニケーションを苦手とする学生から、オンライン授業に代替して欲しいとの希望が出された際に、授業の目的・内容・機能に照らし合わせて、当該授業においては対応が難しい旨を伝えること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点) (両-2-21) 移動に困難のある学生から、実験室で行う実験を1階のアクセスしやすい教室で行えるよう変更してほしいと申し出があった際に、実験の内容を鑑みると教室の変更には対応できないが、移動が円滑に行えるように人的支援を行う旨を伝えること(過重な負担(物理的・技術的制約)の観点) ■医療センター (医-2-8)受付順に診察を行っている診療科で、介助者の拘束時間が長くなってしまうことを理由に、診察時間を早めて欲しい旨の依頼があった際に、他の患者との公平性を鑑みて、当該対応を断ること(障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることの観点) 第3 環境の整備に関する例(第10条関係) 合理的配慮の提供を適確に行うためには、この実施を容易にする環境の整備が重要である。環境の整備とは、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置であり、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、中・長期的なコストの削減・効率化のためにも特に重要とされている。本学においては、学生のほぼすべてが障害のある学生であるという特質上、こうした環境の整備が特に重要視されると考えられる。各キャンパスにおいて進めるべき環境の整備の例は以下の通りである。 <環境の整備の例> ■天久保キャンパス(聴覚障害関連) (天-3-1) 情報保障体制の充実(情報保障者の配置・研修、情報保障に関わるルールの整備、コーディネートに関わる体制整備、必要な機材・設備の整備) (天-3-2) 役員及び職員に対する研修(新人研修、管理職研修、手話や口話等聴覚障害者とのコミュニケーション方法の習得を目指した研修、障害特性に応じた教育方法・窓口等での対応方法等に関する研修等) (天-3-3) 非常勤講師への依頼・啓発(情報保障面での配慮の依頼、障害特性に応じた教育方法に関する助言等) (天-3-4) 本学と契約関係にある事業者の労働者への研修及び事業者との業務契約時における合理的配慮の提供に係る確認(警備員、清掃業者、工事業者、健康診断の実施を依頼する業者等) (天-3-5) 学生の障害補償能力を高める指導・教育環境の整備(コミュニケーション指導、障害への理解・認識を促進するための指導、各種支援技術等に関する知識を習得するための指導等) (天-3-6) 障害特性に配慮した教室環境の整備(見やすさ・聞きやすさへの配慮、補聴援助システム、フラッシュライト、情報保障に必要な施設・設備等) (天-3-7) 障害特性に配慮した視聴覚資料の整備(字幕入り映像教材の拡充等) (天-3-8) 安全確保のための学内環境の整備(ミラー、駐車場ランプ、非常用ブザー、非常時・災害時の情報伝達システム等) (天-3-9) 障害特性に配慮した学生寄宿舎環境の整備(フラッシュライト、非常時・災害時の情報伝達システム、聴覚障害を考慮に入れた物品・備品の購入等) ■春日キャンパス(視覚障害関連) (春-3-1) 学習及びその他に関する資料等メディア変換(点字、録音、文字の大きさや配色の変更、読み上げ可能なテキストデータ等)のための体制の充実 (春-3-2) 職員による生活面の支援体制の充実(メモや郵便物の読み上げ、書類記入、衣服のチェック等) (春-3-3) 役員及び職員に対する研修(新人研修、管理職研修、窓口対応・学生対応(メールボックスへの呼び出し、掲示・連絡方法)・障害特性に応じた教育方法等に関する研修等) (春-3-3) 非常勤講師への依頼・啓発(情報保障面での配慮の依頼、障害特性に応じた教育方法に関する助言等) (春-3-4) 本学と契約関係にある事業者の労働者への研修及び事業者との業務契約時における合理的配慮の提供に係る確認(食堂業者、警備員、清掃業者、工事業者、健康診断の実施を依頼する業者、等) (春-3-5) 学生の障害補償能力を高める指導・教育環境の整備(点字指導、視能・歩行訓練、各種支援技術の習得支援等) (春-3-6) 障害特性に配慮した教室環境の整備(動線に配慮した机の配置、拡大読書機の設置等) (春-3-7) 安全確保のための学内環境の整備(歩行空間における障害物の撤去、歩行を誘導する視覚的・触覚的手掛かりの設置、その他歩行の安全と効率化のための設備の配置) (春-3-8) 障害特性に配慮した学生寄宿舎環境の整備(アクセス、動線に配慮した共用設備、拡大読書機の設置、視覚障害を考慮に入れた物品・備品の購入等) (春-3-9) 事務連絡・学習資料提供用のWebシステムのアクセシビリティ (春-3-10) 学内(教室、学生寄宿舎、その他)において、盲導犬を利用するための環境整備 ■両キャンパス (両-3-1) 聴覚・視覚以外の障害に関する研修 (両-3-2) 施設・設備のバリアフリー化、障害特性に配慮した環境の整備等 ■医療センター (医-3-1) 安全確保のための環境の整備(歩行空間における障害物の撤去、歩行を誘導する視覚的・触覚的手がかりの設置、その他歩行の安全と効率のための設備の配置) (医-3-2) 障害特性に配慮した環境の整備(動線に配慮した設備、車椅子用トイレの設置等) 環境の整備は、不特定多数の障害者向けに事前的改善措置を行うものであるが、合理的配慮は、環境の整備を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障害者に対して個別の状況に応じて講じられる措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例は、次のとおりである。 <合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例> ■天久保キャンパス(聴覚障害関連) (天-3-10)窓口対応業務の多い部署において、円滑な対応ができるよう、あらかじめ筆談や手話を用いた対応の方法について研修を行う(環境の整備)とともに、学生から特定のコミュニケーション方法の使用について要望があった際に、研修内容を踏まえて対応を行うこと(合理的配慮) ■春日キャンパス(視覚障害関連) (春-3-11)手書きや押印が必要な書類があり、学生から記入にあたっての支援を求める申し出があった場合に、求めに応じて代筆や押印の支援を行う(合理的配慮)とともに、以後、手書きが困難な学生であっても記入に不便を感じることのないよう、電子フォーム等を用いて記入できる形式に変更すること(環境の整備) ■両キャンパス (両-3-3) 障害者差別解消の推進を図るための教職員への学内研修を実施(環境の整備)するとともに、 教職員が、学生一人一人の障害の状態等に応じた配慮を行うこと(合理的配慮) (両-3-4) エレベーターの設置といった学内施設のバリアフリー化を進める(環境の整備)とともに、肢体不自由のある学生等が、実験室等で実験実施の補助を必要とした際に、その補助を行うティーチングアシスタント等を提供すること(合理的配慮) (両-3-5) 学外者に公開して行う講演会等で、情報保障の観点から、手話通訳者を配置したり、スクリーンへ文字情報を提示したりする(環境の整備)とともに、申し出があった際に、手話通訳者や文字情報が見えやすい位置に座席を設定すること(合理的配慮) 以上